買収企業との付き合い方

“If you want to do business in Japan…” という記事でも書いたが、取引先の会社が買収されると、その後のビジネスが難しくなることがある。

日本の会社の場合は、契約の取り交わしのやり直しが必要だったり、社風が若干変わったり、そんなにドラスティックに変更が起こるわけではない。

でも、外資系は大抵がらっと変わる。そして、買収した会社の日本人のカントリーマネージャーは最初はあっちにもこっちにもいい顔をするのだけど、最後は、買収された会社のパートナー(つまり弊社)をないがしろにする。

そんな経験をちょっとこの場で愚痴ってみたいと思う。当然社名は明かせませんが・・・。

2004年の終わり、当時、弊社のコンサルティング分野でのクライアントだったシンガポールの会社に紹介され、暗号化技術を開発・販売している会社 S社 と代理店契約をした。この会社は元々オーストラリアで設立され、当時、ドイツの資本が入っていたような記憶がある。

そして、ある暗号化製品を取り扱い始めた。そして、幅広く販売してくれそうな代理店を開拓し、幸運にも、名の知れたIT企業(自社開発製品を中心に販売) T社 が代理店としてこの暗号化製品を販売してくれることになった。

時を前後して、2005年の終わり、S社 が米国の会社 U社 に買収された。そして、S社 から、U社のアジア地域の営業担当者の香港人と日本のカントリーマネージャーの日本人に紹介され、ビジネスは今まで通り、ということだったので、安心していた。

それが、それから3-4ヵ月後・・・

U社は弊社経由で製品を販売するはずだったT社に直接話をし、3月の年度末にソフトウェア製品を在庫として購入させたらしい。

つまり、本当は、

U社 → 弊社 → T社 というはずだった商流が

U社 → T社という商流ですでに売ってしまったらしい。

当時、定期的にU社の営業担当者(日本人)ともやり取りしていたが、U社からはこんな話は全く聞いていなかった。

それが、どうして気付いたかと言うと、記憶がうろ覚えだが、IT製品を紹介するマーケティングサイトで、T社とU社が共同で製品PRのページを掲載していたからだったと思う。

それを見たときは衝撃だった。「なんで?なんで?なんで?」と思った。

少し前に、買収された方の会社 S社 の元担当者が「T社とのビジネスに関わって(involvedして)いるか」というメールを送って来ていたことを思い出した。当時、私はこのメールを重大には受け取らなかった。でも、そういうことだったんだ、と、この時、合点が行った。

すぐにT社の担当者(技術)に電話すると、「昨日で辞めました」と言われた。そして、営業担当者には電話ではつかまらず、その後、弊社の社長が展示会で会った時には、非常に申し訳ないという対応だったという。

本当にがっかりした。

就職してすぐの頃(1999年~2000年頃)、ベンチャー企業の製品を紹介しに行くと、四十代~五十代の部長クラスの方々によく「買収される可能性は?」と聞かれた。その頃、「買収されたら何が変わるの?」と思っていた。でも、こういうことがあるんだ、と骨身に沁みた。

実はT社はU社の他の製品をすでに取り扱っていた。だから、両社間には人的コネクションもあり、T社がU社の製品を買うための口座もあったのだ。

そして、U社がT社に3月末までに製品を押し込みたいという営業をするにあたり、弊社が邪魔だったのだろう。そして、弊社が半年以上かけて関係を築いたT社とのビジネスはゼロとなった。

今、振り返ると、自分にも未熟なところがあったと思う。

S社 が U社に買収された時点で、S社製品のT社への販売は弊社経由で行うということを、覚書か何かしらの書面で取り交わしておくべきだった。(でも、それでも無視されたかも・・・と思う。)

元S社の担当者のメールを受け取った時に、U社に対して、「弊社抜きのビジネスをしてませんよね?」と詰め寄れば良かった。(それでも、やっぱり無視されたかも・・・と思う。)

もっと積極的に、T社への年度末の押し込み営業をすれば良かったかもしれない。(一応、3月末までに在庫として少しでも買ってくれませんか、というお願いはした。でもOKしてもらえなかった。)

ところで、その後、U社は、弊社がT社とのビジネスを失った代償として幾ばくかの仕事を発注してくれたことはここに記しておくべきだろう。

ただ、本当に失ったのは T社 への売上(利益)ではない。U社とT社への信頼と、継続すべきはずだったビジネス。それらは、決して取り戻すことはできない。

予告: 次回は、『外資系企業(IT業界)との付き合い方』について書きたいと思います。

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