国際的なプロジェクトの管理って・・・

10年ちょっと前に、手伝い的に関わったプロジェクトがある。カナダ発の技術を使ったサービスの実証実験だった。カナダ発だけど、拠点はアメリカにもあり、技術開発はカナダで、営業とシステム構築はアメリカが担当していたように記憶している。

私が担当したのは、電話会議(英語)でのメモ取り、簡単な通訳や翻訳等。技術的なことはほとんせず、プロジェクト管理に関しても大したことやっていないのに、アメリカ出張までさせてもらった。

そして、この会社の技術を使った実証実験の場所は東京ではなく、某地方都市だった。

実証実験サービス開始前のシステム構築のため、大勢(7名くらい)のエンジニアと営業担当者が1名がその某地方都市にやって来た。

東京でないだけに、いろんな問題が起こった。システムの不具合でもなく、言葉の壁でもなく、開発の遅れでもなく・・・。

  • 構築期間は1ヶ月くらいあり、その間、ホテル滞在だと大変、ということで、日本側の担当者がウィークリーマンションを紹介。先方には経費削減になると喜ばれたが、作業場所とそのウィークリーマンションが地理的に離れており、仕事の行き帰りにタクシーを呼ばなければならず、不便だった。
  • 問題にはならなかったが、プリペイド携帯や通信カード(当時PHS)の準備も数人分となると大変だった。
  • 作業場所での食べ終わった後の弁当の空き容器と食べ残しの分別。分別の文化は北米にはないらしく(当然か!?)、残飯の入った弁当容器をゴミ箱に捨て、掃除の人にすごい怒られた(らしい)。だから、私達は、誰が食べたかわからない弁当の残飯(エビチリがあったのを覚えている)を素手で”燃やすゴミ”に、弁当の空き容器を”燃えないゴミ”に分別。
  • クーラーかけすぎで、体調を崩し、途中で本国に帰ったエンジニアが一人。(ホテル滞在なら、こんなことにならなかったかも!?)
  • アメリカのATMカードが使えないと大騒ぎになった。(当時、ほとんどのATMカードは郵貯のATMで使えたが、あるエンジニアだけ、ATMでお金をおろすことができずなかった。) 結局、銀行に行って、クレジットカードか何かで、現金を手にすることができた。

でも、極めつけ、というか、一番苦労した思い出があるのは、ある一人のエンジニアが厳格なベジタリアンで、彼が食べられる食事を準備するのが大変だったことだ。

どんなレストランに行っても、魚は入っていないか、肉は入っていないか、逐一、確認したがる。例えば、ある中華料理屋で、野菜の具しか入っていないのを頼んだが、実はスープには肉が使われていた。それがわかったら、もう食べないと言う。毎日、彼に振り回されていた食事時間だった。日本では、完全なベジタリアン料理を食べるのは難しいんだと、気付かされた。

で、プロジェクト完了が近づいたある晩、打ち上げで、和風イタリアンぽい創作料理的なレストランで食事をした。ベジタリアンの彼の前に揚げ出し豆腐が出された。豆腐だから、もちろん、野菜。出汁にはたぶん、動物性のものが入っているけど、言わなきゃわからない。で、彼も自信たっぷりに食べた。

でも・・・、

実は、揚げ出し豆腐の上に、鰹節がたっぷりかかっていました。「これは何だ」と聞かれ、fish powderと言いたくなったけど、当然、黙っていた。もうこれ以上のトラブルはイヤだー、と思い。そして、私だけでなく、日本人もカナダ人もアメリカ人もみんなで魚ではない、と、嘘をついた。

今でも、時々、その嘘のことを思う。

プロジェクトのスムーズな推進のために、仕方なくついた嘘だ

本人にとっては、動物性のものを食べるかどうかは一大事だろうが、実際、肉を食べようと魚を食べようと死ぬことはない、と言う意味で、大したことはない。

そして、ベジタリアンの人にはベジタリアン料理を食べさせてあげたいと思う一方で、この経験以来、外国では食べ物のことでまわりを振り回してはいけない、出て来たものを喜んで食べよう、とも思うようになった。

先日、ある打合せでプロジェクト管理とは?という話になり、何て言うべきか困り、お客様の要件の把握、実装、納期の管理、なんて薄っぺらい答えをした。でも、プロジェクト管理の本質というのは、プロジェクトメンバー一人一人が気持ち良くプロジェクトを遂行できるよう、支援することかもしれない。そういう意味では、このプロジェクトでの一見雑用にしか見えなかったゴミの分別もタクシーの手配も、野菜しか入っていないと言ってついた嘘も、技術面、スケジュール面での管理と同様に重要なことなのかもしれない。

最後に、ベジタリアンの彼がよく言っていた言葉。(まだ確立されていない新しい技術を使ったプロジェクトだったから、ということもあり)

“Everyday is a learning process. ”

日々、勉強、それだけは本当にその通りだと思う。

 

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